2010.08.19

「いつか、どこかで」 Nara Laeo

ボサノバの女神によるジャズスタンダード集

Nara Leaoナラ・レオン) という女性シンガーがいます。
今の日本では、そんなに有名ではないかもしれません。

でも、彼女はボサノバが生まれるのに欠かせない存在でした。

今日はそんな彼女のアルバムをご紹介したいと思います。



Nara Leaoの1989年録音作品
Onde e Quando
(邦題:いつか、どこかで)です。

このアルバムはジャズのスタンダードを
ボサノバで演奏したものです。

ジャズメンの演奏するボサノバの曲と
ブラジルのボサノバミュージシャンが演奏するジャズの曲、
その違いがハッキリと分かるアルバムだと思います。

曲がジャズでも本場の人が演奏すると
ボサノバになってしまうんですね。

とても優しくて涼しげな音世界です。


さて、このNara Leaoなのですが、
ボサノバのミューズ(女神)と言われてるんです。

それは、一体なぜなのでしょうか?

ボサノバは当時の中産階級の若者達の間で流行し始めた音楽です。

教養とお金に恵まれた人達の音楽です。

Nara Leaoの父親は弁護士でして、
彼女が1歳の時にリオ・デ・ジャネイロの
コパカバーナのマンションに引っ越しました。

コパカバーナは世界的にも有名なリゾート地でもあり、
リオの高級住宅地でもあります。

12歳の時に父親からギターを与えられたNaraは、
Roberto Menescalホベルト・メネスカル)と
Carlos Lylaカルロス・リラ)のギター教室に通うようになります。
 ー>Carlos Lylaのアルバムはこちらで紹介しています。

次第に彼女のマンションには
その後のボサノバムーブメントに欠かす事のできない
未来のミュージシャン達が集まるようになり
朝まで語り合うようになりました。

ボサノバの代表曲「イパネマの娘」を生み出すことになる
Antonio Carlos Jobim
Joao Gilberto
Vinicius de Moraes

の3人も訪れていました。

ちなみに、Joao GilbertoAstrud Gilbertoが出逢ったのも
Nara Leaoのマンションだったと言われています。
近所に住むAstrudをNaraが誘ったそうです。

Nara自身が音楽活動を始める頃には
ブラジルは軍事政権の影響で情勢が不安定になり始めていまいた。

多くのボサノバミュージシャンが国外で活動をする中、
Naraはプロテストソングに傾倒していきますが、
軍部に目を付けられ、政治的圧力から逃れる為にパリで生活を始めます。

そして、パリでボサノバの活動を再開します。

その後ブラジルの政治が安定すると、Naraは祖国に戻り
旧知のミュージシャン達とアルバムを制作しました。

Roberto Menesccal、Carlos Lyla、Caetano Veloso、
Antonio Carlos Jobin
など名だたるメンバーが
彼女のアルバムに参加しています。

このことからも彼女の人柄がしのばれますね。

実はRoberto MenescalはNaraの初恋の人でした。
この恋は実る事はありませんでしたが、
終生2人は親しい間柄でした。



1985年の来日時、
Naraはコンサートで何曲か歌った後に
意識を失うというトラブルに見舞われました。





脳腫瘍が進行していたのです。




脳腫瘍と分かっても彼女は精力的に音楽活動を続けました。

1988年に発表したアルバム「あこがれ」は、
彼女が幼い頃に夢中になったアメリカの映画音楽を
ボサノバで発表するというものでした。

このアルバムは幅広い層に支持され、ロングセラーとなりました。

そして、その第2弾として制作されたのが
このアルバム「いつか、どこかで」です。

3度目の来日の企画が持ち上がり、
再び日本のファンに会える事を楽しみにしていたNara Leao。

このアルバムの録音が終わってから、わずか4ヶ月後の6月7日、
彼女は日本の土を踏む事無く、この世を去りました。

47歳の若さでした。

このアルバム、「いつか、どこかで」....
そのつもりは無かったと思うのですが、
まるで彼女が旅立つ事を知っていたかのような
タイトルになってしまいました。

彼女の最後のアルバムは、
この4ヶ月後に彼女がいなくなるなんて思えないほど
優しく暖かく心地良い歌声を聴かせてくれます。

そして、アルバムの裏ジャケットには
Roberto Menescalと微笑むNaraの写真...。

彼女はきっと幸せだったに違いありません。

ボサノバの女神、Nara Leao。

ボサノバの歴史とともに
いつまでも語り継がれていくことと思います。

 Nara Leao【いつか、どこかで】


ボサノバの女神の歌、お聞き下さい。
初恋の人Roberto Menescalとの共演です。





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